ろくがつのまほう。 *沖田くんとうさ銀
暗いお庭に、静かにポ、と光が瞬きました。
枝の先から、ふわりふわりと飛び立ち、
夜の中を優しく光らせます。
ある日の午後、うさ銀は沖田くんに頼みごとをしました。
「おきた、おれに、すごくいいみねらるうぉーたーをかってきてくれ」
普段から沖田くんは、うさ銀の飲み水にも気を使っており、
にんじんやいちごたちのお供に、うさ銀のおなかにもいい、
軟水のミネラルウォーターを買っては
うさ銀に飲ませているのですが、おそらく、今回うさ銀が
欲しがっているのは、普段飲んでいるミネラルウォーターよりも
さらに良いミネラルウォーター、という事なのでしょう。
沖田くんは、うさ銀の欲しい物は、出来うる限り全部あげたい、と
思っているので、頷くとすぐに、「すごくいいミネラルウォーター」を
買いに行ってきたのです。
うさ銀は、沖田くんから「すごくいいミネラルウォーター」を受け取ると
ミネラルウォーターとコップを抱え、すぐに、お部屋から飛び出て
お庭の草むらに飛び込んで、何やらごそごそし始めました。
ミネラルウォーターをコップにたくさんいれて、草むらの中に
並べているようです。
沖田くんは首をかしげると、
「うさ銀ちゃん?何してるんですかィ?」と尋ねました。
うさ銀は、「ないしょだ。ちょっとへやのなかにはいって、
おれがいいっていうまでまってろ。」と
耳をパタパタさせながら言いました。
何やら秘密の何かがあるようです。
沖田くんは、うさ銀が何やらとても楽しそうにしているので、
水を差してしまうのも悪い、と思い、それ以上は何も聞かずに
うさ銀の言う事を聞いて、お部屋の中に入って、うさ銀が
呼んでくれるのを待つ事にしました。
彼は、うさ銀のお願いは、なるべく全部叶えてあげたいのです。
静かに障子を閉めて、うさ銀が自分の名前を呼んでくれるのを
待っている間に、少しづつ、空が暗くなっていきます。
もう、夜が近いのです。
「おきた、おきた。」
お庭からうさ銀が沖田くんの事を呼びました。
沖田くんが、ぱっと障子を開けて、お庭の方を見ると、
ぼんやりと暗いお庭の草むらに、うさ銀がうれしそうな顔をして
立っています。手にはひとつ、枝を持っています。
「おきた、みてろ!」うさ銀は持っていた枝をゆっくりと振り上げて、
あの有名な魔法の言葉を口に出しました。
「るーもすひかりよ!」
うさ銀は、魔法使いがたくさん出てくる、あの有名な映画がすきで、
よく沖田くんに頼んでは、DVDを借りてきてもらい、
たくさん観ているのです。
うさ銀の言葉と同時に、うさ銀の持っている枝の先が、
ふわ、と光りました。
その光が枝を離れるとすぐに、草むらの中から、同じちいさな光が
たくさん現れ、ゆっくりと上昇し、静かに飛び交い始めました。
うさ銀は、その中で、耳を高速でぱたぱたとさせながら、
沖田くんの事を見ています。
うさ銀が何を言って欲しいのか、沖田くんには分かりました。
「…ねえ、うさ銀ちゃんは、ミネラルウォーターで蛍を呼んだんですね?
すごいなァ。きれいですねィ。星みたいだ」
うさ銀は、さらに高速で耳をぱたぱたさせ始めました。
ごきげんです。
うさ銀は、きれいなお水を使って、蛍を屯所のお庭に呼んだのです。
そして、暗くなってきて、蛍たちが光り出す頃合いを見計らって、
魔法の呪文を放ったのでした。
間違いなく、それは本当に魔法を使ったように、きれいな光景でした。
うさ銀のまるいしっぽに一匹、蛍がとまって光っているのを、
うさ銀はまだ気が付いていません。
沖田くんは、それをほんわかとした気持ちで見ています。
枝の先から、ふわりふわりと飛び立ち、
夜の中を優しく光らせます。
ある日の午後、うさ銀は沖田くんに頼みごとをしました。
「おきた、おれに、すごくいいみねらるうぉーたーをかってきてくれ」
普段から沖田くんは、うさ銀の飲み水にも気を使っており、
にんじんやいちごたちのお供に、うさ銀のおなかにもいい、
軟水のミネラルウォーターを買っては
うさ銀に飲ませているのですが、おそらく、今回うさ銀が
欲しがっているのは、普段飲んでいるミネラルウォーターよりも
さらに良いミネラルウォーター、という事なのでしょう。
沖田くんは、うさ銀の欲しい物は、出来うる限り全部あげたい、と
思っているので、頷くとすぐに、「すごくいいミネラルウォーター」を
買いに行ってきたのです。
うさ銀は、沖田くんから「すごくいいミネラルウォーター」を受け取ると
ミネラルウォーターとコップを抱え、すぐに、お部屋から飛び出て
お庭の草むらに飛び込んで、何やらごそごそし始めました。
ミネラルウォーターをコップにたくさんいれて、草むらの中に
並べているようです。
沖田くんは首をかしげると、
「うさ銀ちゃん?何してるんですかィ?」と尋ねました。
うさ銀は、「ないしょだ。ちょっとへやのなかにはいって、
おれがいいっていうまでまってろ。」と
耳をパタパタさせながら言いました。
何やら秘密の何かがあるようです。
沖田くんは、うさ銀が何やらとても楽しそうにしているので、
水を差してしまうのも悪い、と思い、それ以上は何も聞かずに
うさ銀の言う事を聞いて、お部屋の中に入って、うさ銀が
呼んでくれるのを待つ事にしました。
彼は、うさ銀のお願いは、なるべく全部叶えてあげたいのです。
静かに障子を閉めて、うさ銀が自分の名前を呼んでくれるのを
待っている間に、少しづつ、空が暗くなっていきます。
もう、夜が近いのです。
「おきた、おきた。」
お庭からうさ銀が沖田くんの事を呼びました。
沖田くんが、ぱっと障子を開けて、お庭の方を見ると、
ぼんやりと暗いお庭の草むらに、うさ銀がうれしそうな顔をして
立っています。手にはひとつ、枝を持っています。
「おきた、みてろ!」うさ銀は持っていた枝をゆっくりと振り上げて、
あの有名な魔法の言葉を口に出しました。
「るーもすひかりよ!」
うさ銀は、魔法使いがたくさん出てくる、あの有名な映画がすきで、
よく沖田くんに頼んでは、DVDを借りてきてもらい、
たくさん観ているのです。
うさ銀の言葉と同時に、うさ銀の持っている枝の先が、
ふわ、と光りました。
その光が枝を離れるとすぐに、草むらの中から、同じちいさな光が
たくさん現れ、ゆっくりと上昇し、静かに飛び交い始めました。
うさ銀は、その中で、耳を高速でぱたぱたとさせながら、
沖田くんの事を見ています。
うさ銀が何を言って欲しいのか、沖田くんには分かりました。
「…ねえ、うさ銀ちゃんは、ミネラルウォーターで蛍を呼んだんですね?
すごいなァ。きれいですねィ。星みたいだ」
うさ銀は、さらに高速で耳をぱたぱたさせ始めました。
ごきげんです。
うさ銀は、きれいなお水を使って、蛍を屯所のお庭に呼んだのです。
そして、暗くなってきて、蛍たちが光り出す頃合いを見計らって、
魔法の呪文を放ったのでした。
間違いなく、それは本当に魔法を使ったように、きれいな光景でした。
うさ銀のまるいしっぽに一匹、蛍がとまって光っているのを、
うさ銀はまだ気が付いていません。
沖田くんは、それをほんわかとした気持ちで見ています。
うさ銀とかみなりさま。 *沖うさ銀
屯所の中にある、沖田くんとうさ銀の住むお部屋の中です。
今日は非番の沖田くんと、いつでもごろごろ暮らしているうさ銀が、
外に通ずる廊下側にある障子窓を、そーっと細く開けて、外を眺めました。
部屋の中にいても聞こえてくるほど雨の音がすごいので
どんな様子か確かめようとしたのです。
案の定、ばしゃばしゃと大きな音を立てては
ひっきりなしに雨が降っています。
お庭の木も草も雨に濡れて複雑に光って見えます。
遠くで、白い光放つ雷の光も見えました。
ゴロゴロという、こわい音も聞こえてきます。
じょじょに、屯所の近くに雷雲が近づいてきているようです。
うさ銀は、真っ白なヘビのような雷の姿を見た瞬間、
大急ぎでお部屋のスミの方へ走って逃げて、丸くなりました。
おへそを隠しているのです。
うさ銀がちいさな頃に読んだ本に、とある記述があったのです。
「雲の上には、怖いかみなりさまが住んでいて、雷に乗って
地上に降りてきては、おへそをもぐ」…という内容です。
おへそをもぐ、だなんて、恐怖です。
もげるものなのでしょうか…。
どうやってもぐのでしょうか…。
考えるだけでこわい…と、うさ銀は常々思ってきました。
沖田くんは、慌てて障子を閉めると、うさ銀の所へ駆け寄ります。
「うさ銀ちゃん、だいじょうぶですかィ?
大きい音が怖かったんですかィ?」
沖田くんはうさ銀を心配して、こう声を掛けました。
うさ銀は、引き続き、ぶるぶるしながら端っこで丸まっています。
一生懸命に、おへそを手て覆っているのが分かりました。
沖田くんは、うさ銀が雷の音…というよりも、
有名な昔話に出てくる、へそを取ってしまう雷様をこわがっているのかも、
…という事に気が付きました。
顔を上げず、手で、おへそを覆ったまま、
うさ銀は近くにいる沖田くんへと言いました。
「おきた、つったってないで、おまえもはやくへそをかくせ!
かみなりがきたらどうすんだ!」
沖田くんは、きょとんとしてしまいました。
うさ銀は…、うさ銀も、ちゃんと沖田くんの事を心配して声を掛けてくれたのです。
沖田くんは、うさ銀を、そっと抱き上げました。
うさ銀は急に視界が明るくなったので驚いて「ギャー!」言いましたが、
沖田くんは、うさ銀のおへそも沖田くんのおへそも外側に出ない格好、
つまり、沖田くんがうさ銀の背中を抱える格好の
お互い向かい合わせスタイルにうさ銀をだっこして、
「この格好なら、うさ銀ちゃんも俺も、へそを取られないで済みまさァ」と
ひどくうれしそうに言いました。
うさ銀は顔を上げました。
沖田くんは続けて、
「それにもし、かみなりが来て、うさ銀ちゃんのおへそを欲しがったら、
俺がかみなりをボコボコにしてみせますし…、そうだ。
…どうしてもって言うなら、土方さんのへそを渡しちまいましょうぜ。ね?」
いきなり土方さんがとばっちりを受けています。最後のは、きっと冗談でしょう。
冗談でない場合、さすがにかわいそうなので、うさ銀は冗談だと思う事にしました。
そして、うさ銀は、沖田くんにだっこされながら、ちいさく「うん」と言いました。
沖田くんは、やっぱりまだ、うれしそうに笑っています。
雷の音がほんのすぐ近くまで近づいてきたのが分かります。
ほんの傍で、大きな音が聞こえてきます。
でも、うさ銀は不思議ともう、あまり怖くは感じませんでした。
それから後になっても、ずっとずっと。
今日は非番の沖田くんと、いつでもごろごろ暮らしているうさ銀が、
外に通ずる廊下側にある障子窓を、そーっと細く開けて、外を眺めました。
部屋の中にいても聞こえてくるほど雨の音がすごいので
どんな様子か確かめようとしたのです。
案の定、ばしゃばしゃと大きな音を立てては
ひっきりなしに雨が降っています。
お庭の木も草も雨に濡れて複雑に光って見えます。
遠くで、白い光放つ雷の光も見えました。
ゴロゴロという、こわい音も聞こえてきます。
じょじょに、屯所の近くに雷雲が近づいてきているようです。
うさ銀は、真っ白なヘビのような雷の姿を見た瞬間、
大急ぎでお部屋のスミの方へ走って逃げて、丸くなりました。
おへそを隠しているのです。
うさ銀がちいさな頃に読んだ本に、とある記述があったのです。
「雲の上には、怖いかみなりさまが住んでいて、雷に乗って
地上に降りてきては、おへそをもぐ」…という内容です。
おへそをもぐ、だなんて、恐怖です。
もげるものなのでしょうか…。
どうやってもぐのでしょうか…。
考えるだけでこわい…と、うさ銀は常々思ってきました。
沖田くんは、慌てて障子を閉めると、うさ銀の所へ駆け寄ります。
「うさ銀ちゃん、だいじょうぶですかィ?
大きい音が怖かったんですかィ?」
沖田くんはうさ銀を心配して、こう声を掛けました。
うさ銀は、引き続き、ぶるぶるしながら端っこで丸まっています。
一生懸命に、おへそを手て覆っているのが分かりました。
沖田くんは、うさ銀が雷の音…というよりも、
有名な昔話に出てくる、へそを取ってしまう雷様をこわがっているのかも、
…という事に気が付きました。
顔を上げず、手で、おへそを覆ったまま、
うさ銀は近くにいる沖田くんへと言いました。
「おきた、つったってないで、おまえもはやくへそをかくせ!
かみなりがきたらどうすんだ!」
沖田くんは、きょとんとしてしまいました。
うさ銀は…、うさ銀も、ちゃんと沖田くんの事を心配して声を掛けてくれたのです。
沖田くんは、うさ銀を、そっと抱き上げました。
うさ銀は急に視界が明るくなったので驚いて「ギャー!」言いましたが、
沖田くんは、うさ銀のおへそも沖田くんのおへそも外側に出ない格好、
つまり、沖田くんがうさ銀の背中を抱える格好の
お互い向かい合わせスタイルにうさ銀をだっこして、
「この格好なら、うさ銀ちゃんも俺も、へそを取られないで済みまさァ」と
ひどくうれしそうに言いました。
うさ銀は顔を上げました。
沖田くんは続けて、
「それにもし、かみなりが来て、うさ銀ちゃんのおへそを欲しがったら、
俺がかみなりをボコボコにしてみせますし…、そうだ。
…どうしてもって言うなら、土方さんのへそを渡しちまいましょうぜ。ね?」
いきなり土方さんがとばっちりを受けています。最後のは、きっと冗談でしょう。
冗談でない場合、さすがにかわいそうなので、うさ銀は冗談だと思う事にしました。
そして、うさ銀は、沖田くんにだっこされながら、ちいさく「うん」と言いました。
沖田くんは、やっぱりまだ、うれしそうに笑っています。
雷の音がほんのすぐ近くまで近づいてきたのが分かります。
ほんの傍で、大きな音が聞こえてきます。
でも、うさ銀は不思議ともう、あまり怖くは感じませんでした。
それから後になっても、ずっとずっと。
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プロフィール
HN:
あかこまどり
性別:
女性
自己紹介:
1827とジュリジャンとカヲシンと沖銀土銀が特に好きです。
ごくまれに同人活動をしている場合もあります。
ごくまれに同人活動をしている場合もあります。
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P R
※※※
むくろちゃん。
この髪型のテンプレを見た瞬間、たまらずに作ってしまいました・・・!(^//^;)
