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うさ銀とかみなりさま。 *沖うさ銀

屯所の中にある、沖田くんとうさ銀の住むお部屋の中です。
今日は非番の沖田くんと、いつでもごろごろ暮らしているうさ銀が、
外に通ずる廊下側にある障子窓を、そーっと細く開けて、外を眺めました。
部屋の中にいても聞こえてくるほど雨の音がすごいので
どんな様子か確かめようとしたのです。

案の定、ばしゃばしゃと大きな音を立てては
ひっきりなしに雨が降っています。
お庭の木も草も雨に濡れて複雑に光って見えます。
遠くで、白い光放つ雷の光も見えました。
ゴロゴロという、こわい音も聞こえてきます。
じょじょに、屯所の近くに雷雲が近づいてきているようです。

うさ銀は、真っ白なヘビのような雷の姿を見た瞬間、
大急ぎでお部屋のスミの方へ走って逃げて、丸くなりました。
おへそを隠しているのです。
うさ銀がちいさな頃に読んだ本に、とある記述があったのです。
「雲の上には、怖いかみなりさまが住んでいて、雷に乗って
地上に降りてきては、おへそをもぐ」…という内容です。
おへそをもぐ、だなんて、恐怖です。
もげるものなのでしょうか…。
どうやってもぐのでしょうか…。
考えるだけでこわい…と、うさ銀は常々思ってきました。

沖田くんは、慌てて障子を閉めると、うさ銀の所へ駆け寄ります。
「うさ銀ちゃん、だいじょうぶですかィ?
大きい音が怖かったんですかィ?」
沖田くんはうさ銀を心配して、こう声を掛けました。
うさ銀は、引き続き、ぶるぶるしながら端っこで丸まっています。
一生懸命に、おへそを手て覆っているのが分かりました。
沖田くんは、うさ銀が雷の音…というよりも、
有名な昔話に出てくる、へそを取ってしまう雷様をこわがっているのかも、
…という事に気が付きました。

顔を上げず、手で、おへそを覆ったまま、
うさ銀は近くにいる沖田くんへと言いました。
「おきた、つったってないで、おまえもはやくへそをかくせ!
かみなりがきたらどうすんだ!」
沖田くんは、きょとんとしてしまいました。
うさ銀は…、うさ銀も、ちゃんと沖田くんの事を心配して声を掛けてくれたのです。

沖田くんは、うさ銀を、そっと抱き上げました。
うさ銀は急に視界が明るくなったので驚いて「ギャー!」言いましたが、
沖田くんは、うさ銀のおへそも沖田くんのおへそも外側に出ない格好、
つまり、沖田くんがうさ銀の背中を抱える格好の
お互い向かい合わせスタイルにうさ銀をだっこして、
「この格好なら、うさ銀ちゃんも俺も、へそを取られないで済みまさァ」と
ひどくうれしそうに言いました。

うさ銀は顔を上げました。
沖田くんは続けて、
「それにもし、かみなりが来て、うさ銀ちゃんのおへそを欲しがったら、
俺がかみなりをボコボコにしてみせますし…、そうだ。
…どうしてもって言うなら、土方さんのへそを渡しちまいましょうぜ。ね?」
いきなり土方さんがとばっちりを受けています。最後のは、きっと冗談でしょう。
冗談でない場合、さすがにかわいそうなので、うさ銀は冗談だと思う事にしました。
そして、うさ銀は、沖田くんにだっこされながら、ちいさく「うん」と言いました。
沖田くんは、やっぱりまだ、うれしそうに笑っています。


雷の音がほんのすぐ近くまで近づいてきたのが分かります。
ほんの傍で、大きな音が聞こえてきます。
でも、うさ銀は不思議ともう、あまり怖くは感じませんでした。
それから後になっても、ずっとずっと。









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自己紹介:
1827とジュリジャンとカヲシンと沖銀土銀が特に好きです。
ごくまれに同人活動をしている場合もあります。

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この髪型のテンプレを見た瞬間、たまらずに作ってしまいました・・・!(^//^;)

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