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うさ銀と絵本 *沖田くん土方さんとうさ銀

うさ銀は、よく絵本を見ます。
「読みます」ではなく「見ます」なのは、うさ銀があまり字を知らず、絵本の文の所は、あんまり読む事が出来ないからです。
沖田くんや、他の隊士の誰かに時間がある時は、そのひとに読み聞かせてもらえるのですが、うさ銀がひとりの時は、うさ銀は、絵本を見るのです。
(その時、うっかりお腹が空いてしまっていると、うさ銀は絵本をかじってしまいたくなる場合もあるのですが、沖田くんは、自分が出掛けている間にうさ銀が食べる為のおやつのストックを切らした事がないので、今の所、絵本たちは無事な姿でいます。)
本来、うさぎとして生きていくのに必要な、穴堀りの仕方や毒の草の見分け方、外敵から身を守る為の隠れ方などは、ちいさい頃に、先生やお兄ちゃんのみんなが、うさ銀にばっちりマンツーマンで教えてくれました。
うさ銀はうさぎなので、本来なら、そういったサバイバルな勉強だけで、もう充分だったのですが、しかし。
絵本を見ながらうさ銀は、人間社会の中…屯所内で暮らしていく上では、少しだけでも、字を覚えた方が、いろいろと便利かな…と、ちらっと思いました。
字を覚えたら、沖田くんや他の隊士のみなさんが、うさ銀の情操にいいだろう、と、ちょこちょこ買ってくれる絵本も、絵だけを楽しむのではなく、自分ひとりだけで文を読む事も出来るようになります。
なので、きっと字を覚えた方がいい…、と思いつつも、うさ銀は正直、あまりそういった勉強が好きなタイプではなかったため、便利なのは分かりつつも、今に至っても特に文字について勉強する事なく、まだ字をあまり知らないままでいるのです。
うさ銀があまり文字を読めない事を知った沖田くんが、絵本に書いてある字を指差しながら、ひらがなを手取り、なぜか足取り教えてくれようとしましたが、うさ銀は、あまりやる気が起きません。
字を読めなくても、絵から何となく内容の推理も出来ますし、本当に分からない時は、後で沖田くんがうさ銀に文を読んでくれればいいだけの話なのです。うさ銀がその旨を沖田くんに伝えると、面倒な事をお願いしたはずなのに、なぜか沖田くんはとても嬉しそうにしていました。
彼のよろこぶポイントは、まだいまいちうさ銀には、わかりません。
うさ銀は、今日も一生懸命に絵本の絵の部分を見つめ、お話の内容を理解しようとしています。
今日も相変わらず、文の所はほぼ読めませんが、絵を見つめていれば、何となくストーリーは分かります。うさ銀は眉間にシワを寄せた難しい表情で、絵本をめくっては、ストーリーを想像しています。
沖田くんのお部屋の縁側に座り、お昼過ぎのぽやんと暖かい日差しを浴びながら、うさ銀は渋い表情のまま、絵本を見ていました。機嫌が悪い訳では全くなく、絵から内容を推理しようと、がんばる姿です。
でも、そろそろ誰かに文の所を読んでもらいたくなってきてしまいました。
だけど、沖田くんはお仕事中ですし、周りを見回しても、他の隊士のみなさんの姿もありません。今は仕方ない、夜に沖田くんが帰ってきてから、文を読んでもらうことにしようかな…と、うさ銀が思ったその時、
そこに、うさ銀がちょっと懐いてあだ名で呼んでいる「おっさん」こと、土方さんがちょうど良く通りかかりました。彼は午後から内勤で、先ほど見廻りから帰ってきた所です。
土方さんは、縁側にいるうさ銀に、
「うさぎ。なんだその顔。腹でも痛いのか?」と声を掛けてくれました。
なんてよいタイミングでしょう。
うさ銀は顔を上げて、土方さんを見つめました。土方さんの顔は、なかなか鋭い感じで、ぱっと見には、取っつき難く感じますが、本当は優しいひとなのです。微妙なあだ名をうさ銀から付けられても、怒る事なく、うさ銀の事を気にしてくれます。
「おっさん、これよんでくれ。おれ、じが、ちょっとだけしかよめないんだ。
えだけをみてたんだけど、それだと、よくわかんないとこもあるんだ」
と、うさ銀が土方さんにお願いをすると、「仕方ねぇな…」と、土方さんはすぐにその場に座り、うさ銀から絵本を預かると、さっそく物語を読んでくれました。優しいのです。
お話は、うさぎが大活躍するお話、かちかち山でした。
土方さんは、うさ銀のために、ゆっくり読み聞かせをしてくれました。うさ銀は隣に座り土方さんの手元の絵本のページを覗きこみながら、うんうん、と頷きながらお話を聞きます。
土方さんは、なかなか読み聞かせが上手です。普段から大きな声で沖田くんたちを叱って、発声練習をしているからでしょうか?
聞き取りやすい、低い声で、とても上手にうさぎや狸や、おじいさんおばあさんのセリフを読み上げてくれました。
辛い味噌をやけどに塗られ、痛みにおののく狸の辛そうな感じ、泥の船に狸を誘ううさぎの無邪気を装った裏のある感じまで、セリフのひとつひとつからから、ばしばし感じられます。
まったく。本当にどのセリフも満遍なく、とても上手で、うさ銀は、内心ちょっとびっくりしていました。
余談ですが、沖田くんは、悪い魔女や山姥、隣の家に住むいじわるなおじいさんおばあさんのセリフを読むのがやたらと上手です。大変真に迫っているのです。
「ほら、これでおしまいだ。うさぎの勝ちだったな」
土方さんが絵本を閉じます。
うさ銀は耳をぱたぱたとさせて、頷きました。
「つよいうさぎ。」
うさぎという生き物は比較的、か弱い生き物と描かれがちですが、かちかち山のうさぎは頭の良い、強いうさぎです。うさ銀はうんうん、と、うれしそうにもう一度頷きました。
土方さんはそれを見て、「そうだな」と、少し笑って、うさ銀の頭をちょっと撫でてくれました。
その晩、お仕事から帰ってきた沖田くんに、「きょう、ひじかたに、ほんよんでもらった。ひじかた、ほんよむのうまかった」と、うさ銀は今日あった事をお話ししました。悪気ゼロです。
沖田くんは、一瞬、何か言いたそうな表情を浮かべましたが、一度下を向いて、また正面に向き直った時は、いつもうさ銀の前で見せる笑顔に戻っていました。
「よかったですねィ。じゃあ、俺もうさ銀ちゃんに喜んでもらえるように、もっともっと、上手に絵本を読めるようになりますねィ」と、にこにこ笑う沖田くんですが、次の日の土方さんへの態度がものすごく悪く、少しでも隙があれば、バズーカを土方さんへ向けて撃ちまくっていました。
自分がいない時にも、うさ銀が楽しく過ごしていてくれてよかった、という気持ちと、うさ銀ちゃんの希望を叶えてくれてありがとうだが、人の居ない間にうさ銀ちゃんに近づいて気に入られやがって土方この野郎月夜の晩ばかりじゃねぇぞ、という気持ちでぐるぐるする沖田くんと、親切な気持ちでうさ銀に絵本を読んであげただけなのに、バズーカで狙われまくる羽目になってしまった土方さんは、ふたりとも、うさ銀に振り回されています。
でも、うさ銀は、そんな事になってしまっている事にも気付かず、今日ものんびりと過ごしているのです。




後日、土方さんが、楽しく勉強できるドリル(う○こドリル)をうさ銀に買ってくれて、うさ銀は、その内容がおもしろ過ぎて、大喜びしながら、勉強を始めます。…というような続きもまた書きたいです。
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1827とジュリジャンとカヲシンと沖銀土銀が特に好きです。
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